友達1000人できるかな@世界一周

愛知の大学生が休学して世界を旅します! 笑あり涙ありの青春コメディーだがや!

2017年12月


インドのバラナシで久しぶりに日本人宿を使いました。

「サンタナ バラナシ」
IMG_1933
快適すぎて、行くはずだったコルカタをやめてバラナシに1週間も滞在してしましました。

IMG_1531

その上3日もブログを書くのを滞っていました、すみません。
そんなこんなで今はインドからタイのバンコクに向けて雲の上です。

先ほど空港でアナウンスで名前を呼び出され、
関係者以外立ち入り禁止のエリア、なんと言ったらいいのでしょう、預け荷物がコンベアで運ばれているところを全力疾走してきました。
20140723221304a38
(画像はイメージ)

2017年最後の最後までトラブルに見舞われます。これもいい経験です。

さて2017年が終わります。

日本の皆様はいかがお過ごしでしょうか。
先日、高校の頃の野球部の集まりがあり、もちろん海外にいる私は出席ができずLINEグループに貼られたみんなの楽しそうな表情が映った集合写真を眺めていました。
そして数日後に行われる成人式の時も同じ思いをすることになるでしょう。
日本に帰ったら取り戻したいものです。

2017年は私にとって激動の一年でした。



世界一周に出る。



そう決めた2016年の6月から地道に準備を始めて、慣れない大学生活の1年目を過ごし終えました。
春休みに入った2017年2月からはひたすらアルバイトに励みました。
それまでしていた寿司屋のバイトを2月いっぱいまでやり遂げ、3月からはさらにお金を稼ぐために岐阜県のホテルで住み込みのアルバイトを始めました。
そして1年の休学をとって6月19日にニューヨークへ飛び立ちました。

よく聞かれました。

「なんで世界一周に行くの?」

なぜでしょう。
正直言って自分でも明確な理由は分かりません。
 
ただ、自分の中で世界一周の旅をするなら今年しかない、というこだわりはありました。
出発する時点で19歳、そこにはこだわりたかった。
20歳になってからではなく、10代のうちに何か大きなことを成し遂げたかった。
 
結局そんなもんは自己満足でしかありません。
でも、それが今になって良い選択だったと思っています。
IMG_6826

旅に出る前は正直「世界一周」ってすごいことだと自分でも思っていました。
今から自分はすごいことをするんだ、今までの常識からでは考えられない景色を見ることができるんだ。って。
 
でも、旅に出て気がついたことが何かって、それは

「世界一周」がそんなに大したことではないという事。
 
正直誰でもできる事です。
飛行機乗って、観光名所へ行って、写真をとって、SNSに載せて、宿に泊まって、また次の目的地へ行く。
 
それだけだから。
 
もちろん壮大な景色を見たときの感動や、世界中の人たちと話したり、交流したりしたことも素晴らしい経験です。
でも、何を一番学んだかってこれなんです。
この記事を読んでくれている読者の方の中には、聞いてガッカリされた方もいるかもしれませんが、決して悪い意味ではないです。

旅に出る前は、怖かったし不安もありました。
何かにトライする時って大抵は感じることです、そして私は今までこの時点でトライすることをやめていました。
しかし、今回実際にやってみて
 
「あれ?全然普通にできるじゃん。」
 
と感じました。

 
やる前は無理だと思っていることも、実際にやってみるとできてしまう。


言うだけなら簡単です。でもこれを19、20歳で身をもって学べたことはかなり大きな財産になりました。


まだまだ書きたいことはたくさんありますが、キリがないのでここで終えます。
2017年は私にとって濃い1年になりました。



旅先で出会った旅人の方達

この旅を応援してくださっている関係者の皆さん

このブログを読んで下さっている読者の皆さん 

日本から支えてくれる友達

いつも心配してくれる家族

本当に本当にありがとうございました。

皆さんのおかげで2017年は素晴らしい1年になりました。

2018年が皆様にとって素敵な1年になりますように。

日本で再会できることを心から楽しみにしています。

2017年 12月 31日
後藤南斗



ブログは次回よりインド編に突入します! お楽しみに!
 

ランキング参加してます! 清きポチッお願いします♡ にほんブログ村 旅行ブログ 世界一周へ
にほんブログ村


③〜進んでも『死』戻っても『死』〜の続き



あれだけ確認したのにも関わらず運転手が口にした値段はトマムだった。


「いや違うから。俺ら確認したやん。」

「違う。90,000トマムだ。」

出た出た。
こういうの本当にムカつく。


「もう無理やり渡して出よう。」


90,000リアルを車の中に置いて出る。

しかし、運転手は後から追いかけてくる。

知らないふりをしてバスターミナルに向かう。

背後で運転手は叫んでいる。
すると周辺にいたイラン人が皆集まり出して、気がつけば100人ほどの野次馬に囲まれていた。


「鬱陶しいなぁ!」


騒ぎが大好きなのか、とても楽しそうにこちらを見てくるがそれが不快でたまらない。


「君たちはトマムで払わなければならないよ。」
「90,000リアルだと少ないよ。」


四方八方から野次馬達が好き勝手に言ってくる。
イラン人は謎のプライドが高い人種でもあるらしく、仲間意識がすごい。

「いやいやお前ら、何も知らんやん。」

徐々にざわつきが強くなる。

運転手が叫んだ。


「ポリス呼ぶぞ!」

「好きにせいや!」


もうここまで来たら意地の張り合いだ。
今宵は絶対に負けん。

しょうたさんと覚悟を決めた。

しばらくしてからポリスが到着。
ポリスが野次馬に怒鳴ると、あっという間にみんなその場を去っていった。

そして近くの署まで連れていかれる。

で、このポリス,,,


英語がよく話せなかった (≡ω≡.)


意味ないやんけ。

ドライバーがペルシャ語で都合の良いように話しているのがよく分かる。

「おい、ポリス。英語話せる人用意してくれや。」

顔を強張らせて伝える。


そして数分後、1人の屈強な男が入ってきた。

「入国管理局の者です。」

おぉ、イミグレ官登場ですかい。
場所を移して話を聞くらしい。

まさか入国管理官が登場するとは思わなかったが、ここまで来てしまったら仕方がない。

車に乗せられ、入国管理局まで連行される。

銃を手にしたガードマンが立つ前のゲートが開き、敷地内に入る。
そのまま部屋に連行される。

促され席に着き、改めて話を整理する。



話の辻褄が全く合わない。


「君たちは彼にチェルガードで乗せてもらってシャフレコードで降ろしてもらった。」

「はい、そうです。」

「そして君たちは提示された90,000トマムを払わなかった。」

「いいえ、違います。 提示されたのは90,000リアルです。」

「いや、君たちは90,000トマムを提示されたのです。」

「いや、何であなたがそんなこと言い切れるんですか? トマムではなく、リアルだって何回も確認しました。」

「彼はそうは言っていない。」

「そりゃ都合の良いように言いますよね。」

「それに彼はこれからチェルガード(私たちを乗せた街)まで帰らないといけないんだ。」

「いいえ、違います。彼はシェフレコード(今いる街)にある家に帰る途中だと言いました。」

「いや、彼の家はチェルガードだ。」

「なら、住所が書かれた書類なり何なり見せてください。」

「いや,,, それは,,,できない。
とにかく君たちはタクシーの正規の値段を払わなければならない。」


「何でできないんですか。それに彼はタクシーの運転手ではないです、ただの車を持っている人。なら、タクシー営業証明書でも見せてください。」

「いや,,,それは,,,できない。」

「何でできないんですか。」

「とにかく90,000トマムを払え。」

「いいえ、払いません。」

「払え。」

「払いません。」

「払え!」

「払いません。」

「彼はムスリムだから君たちは払わなければならない。」

「いや,,,ごめん。意味がわからないけど、だったら俺たちは仏教徒だから払う必要はないですね。」

「はぁ,,,」

「ため息をつきたいのはこっちです。」

こんなやりとりが2時間ほど続く。

この時点で私たち日本人2人はこの状況を完全に楽しんでいた。
対するイラン人は早く帰りたさそうで仕方なさそうだったが。

入国管理官が怖い顔をして口を開く

「もし君たちがこれ以上私に逆らうのなら、パスポートは今日預かって明日裁判にかけて、犯罪歴をつける。」

そしてこちらはついつい笑みがこぼれる。

忘れないでほしい。




今、争っていることは270円か2,700円の違いなのだ。




それで犯罪歴ってwww

別に裁判にかけるならそれはそれでよかった。
ただ問題はそれが明日まで引続くという点である。

もう、早くイランを出たくて仕方がない私たちにとって、もう一日以上イランにいることが拷問のような苦痛に感じつつあったからだ。


「もう日本大使館に連絡するから、電話させてくれ。」

「それは,,,できない。」


はい、お得意のやつね。都合悪くなるとすぐこれだ。

でも、今日中のこの話は終わらせたいのだ。
そしてしょうたさんと相談した結果 90,000トマムの半分 45,000で持ちかけてみることにした。

「分かった。45,000なら払う。もうそれで良いね?」

その瞬間。


「オォォォォォォ!!!
サンキゅー❤️ 
ウィーラヴジャパニーズ❤️ 
ウィーアーフレンドー❤️」



本当に気持ち悪かった。

捨てるようにお金を渡し、パスポートを奪還。求められた握手も拒否、全て無視してその場所を出た。


そしてついに帰宅。


長い長い一日が終わった。


宿の近くのケバブ屋さんにてしょうたさんとコーラで乾杯をした。

その日飲んだコーラはこの旅に出て以来一番美味しかったのはもはや言うまでもないだろう。





『イラン強制出国の危機』完



  ランキング参加してます! 清きポチッお願いします♡ にほんブログ村 旅行ブログ 世界一周へ
にほんブログ村


②〜強制出国どころか命の危機〜の続き


どれだけ歩いたのだろうか。

ここで冷静に現状を確認してみる。

現在地 山奥(民家など無い)最寄りの街まで20km
時刻  PM3時
気候  晴天 気温は5℃くらい(徐々に寒くなってきている) 積雪20cm
食料  水、チョコ、木の実
持ち物 スマホ、カメラ、財布
防寒具 ヒーテテック、ユニクロのパーカー、ユニクロウルトラライトダウンジャケット 

えぇっと,,,

これ、完全に『遭難』だよね。

塗装された道を歩いていたから、あまりそう思わなかったけど冷静に考え直してみると

もう一度言う。
これ、完全に『遭難』だよね。

この時はもはや、進むか戻るか、よりもどうやって一晩をこの山の中で生き延びるかを考えていた。

最悪、この山の中で過ごさなければならないかもしれない。
日が暮れれば、前に進むことすら困難になるだろう。街灯などない。

というか、この時点で

「車が進めなくなるほどの雪を確認する」

という目標は達成できていたのに進むのを止めなかったのはなぜだろう。

そうだった。

もしかしたら一晩さえ凌げば、あの秘境にたどり着くことができるかもしれないという僅かな希望を求めていたんだ。

と言うか、進んでも「死」だし、引き返しても「死」だった。
だったら進もう、的なやつだ。


あぁ,,, お腹減ったな。
でもダメだ、このチョコはマジで非常食だから。

ノリと勢いだけできたから食料も買ってない。

この時は既に2人の間に会話は無かった。


あぁ、やばいかもしれない。

マジで、生きて帰れなかったらどうしよう。

ほんまにシャレにならんくなってきた。


ネガティブな考えが脳内を占める。

その時だった。

2人の足音だけが響いていたこの空間に一瞬何か異質な音を聞いた。

後ろを歩いていたのは私。

周りを見渡す。


気のせいか,,,?
え、とうとう幻聴?

そんなことを考えたが

背後から何か白いものがこっちに向かっているのが見えた。


「え? 車?」


は⁉︎ と前を歩いていたしょうたさんも振り返る。

もう2,3時間は車を見ていなかったから、何が起きたかよく分からなかった。

目をこらす。
そう、確かに車が向かってきていた。



「車だ!!!!」


2人で歓喜の声を上げる。どちらにしろこれで生きて帰れる!

大きく手を振る。

車は白のランドクルーザー。
さすがトヨタだ。雪道など関係のないように進んでくる。

徐々に近づいてくる。

しかし、何かが変だ。スピードが変わらない。

気づいていないのだろうか。全力で手を振る。


そして、そのままその車は私たちの横を通り過ぎていった。


「嘘だろ,,,」


激しい落胆が襲ってきたが、それもつかの間、しばらく進んだ平らなところで車は止まってくれた。

良かった。
残っていた体力を全て振り絞って車に駆け寄る。


「ありがとう!!!」

車に乗っていたのはイラン人で若者の3人組。こんなところを歩くやつなど見たことないのだろう。


「お前ら、マジで頭おかしいだろ!?( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \」


と爆笑しながらこちらを指差す。

もう、なんでもいい好きに言ってくれ。

そして、ここまで走ってきた車。期待を込めて彼らに行き先を訪ねる。




「Sar Agha Seyedだぜ!」





キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!



車の中で全力で叫ぶ。

諦めなくてよかった! こういう奇跡を期待していたのだ! よし行こうではないか!



いざ秘境へ!




あれれ。
IMG_1817


1時間ぐらい奮闘したけど、この先に進めそうにはなかった。
あと少しまできていたのに。 

でも、ここまでやってダメだったのなら仕方がない。

私としょうたさんは納得して帰路についた。


彼らに最寄りの街まで送ってもらいバスターミナルへ向かう。
さぁ、帰ろう。


しかし、言われたのは


「バスはもう無いよ。明日の朝だ!」


とのこと。
ただ、この時私たち2人に敵はなかった。あの雪山から生き延びたのだ。
できないことなど無い。


「ヒッチハイク」

で帰ろう。


行きの道は計5時間ほどかかった。

帰りは6時間で帰れればOK

そう目標を立てて車を探す。


この時PM4:30

通る車を止めて尋ねる。

そしてさらに奇跡が。 5台目くらいの車だった。


「Shahrekordに家があるから乗せてくよ。」


はい来た。やっぱ神様は見てたね。止まない雨は無いってこう言うことでしょ?

ちなみに


Sar Agha Seyed(たどり着けなかった目的地)

Chelgerd(今ここ)
↓ 2時間
Farsan
↓ 1時間半
Shahrekord(ここまで乗せてくれると言っている)
↓ 2時間
Isfahan(ここに宿がある)


一つ大きな街であるFarsanを超えてその先まで行ってくれると言うではありませんか!
しかも家があるとかマジですかい、おじさん!


「でもお金払ってね('▽'*)ニパッ♪」


そりゃ、そんなに上手くはいかないか。


「いくら?」

「90,000」


日本で270円ほどか
行きのバスの合計額もこのくらいだったから安いもんだ。


「おけおけ払う払う!」


しかし一つ確認しなければならないことがある。

イランには面倒なことにお金の単位が2つある。

リアルとトマルだ。
そして基本的にお金の単位として扱われているのは「リアル」

10,000リアルは30円

イランでは急激にインフレが進んでしまい、紙幣の0がめちゃくちゃ多い。
そこで誕生したのがトマル。
トマルは0が一個減る。つまり

1,000トマルは30円

となるのだ。
マジでややこしい。
現にこの違いを利用して旅人を騙すイラン人も少なくないし、私たちも常識のごとくこの事については知っていた。

話を戻すと、運転手は「90,000」と言ったが、それがリアルかトマルかで270円か2,700円かの違いになるのだ。

しっかりと確認する。

「90,000リアルだね!? リアル!!??

「イエース、イエース」

NOトマルだぞ! リアルだから! 分かった!?

「イエース、イエース」

よし、ここまで確認すればいいだろう。
車に乗り込む。
IMG_9104

今日の疲れがどっと来たのだろう。
気がつけば爆睡していた。





どれくらい寝たか。運転手に起こされて2人とも目覚めた。
外はもう真っ暗だ。

Shafrekordに着いたらしい。時間はPM7時30ごろ

かなり順調だ。あとはここのバスターミナルからIsfahanに戻れば長かった今日が終わる。

運転手に「ありがとう」と約束通りの90,000リアルを払う。

そして運転手が発した衝撃の言葉は




「リアルじゃない。90,000トマルだ。」




だった。


④〜入国管理局と決闘の末に〜へ続く



  ランキング参加してます! 清きポチッお願いします♡ にほんブログ村 旅行ブログ 世界一周へ
にほんブログ村


①〜秘境への道のり〜の続き



ヒッチハイクを始めてから最初の車は意外と早く来た。


「来た!」


大きく手を振って、車を止める。

期待を込めて

「どこに行くの!?」

と尋ねるが、運転していた20代くらいの彼は、まっっっっったく 英語が話せなかった。

「WHERE! YOU! GO!?」

単語で話すが、ダメだ。彼の頭上には「?」が浮かんでいる。

「どうしよう、とりあえず乗せてもらって彼が行くところまで行こうか。」


としょうたさんと相談していると、彼はスマホでグーグル翻訳を開いて渡してきた。
テクノロジーの進歩はすごい。
彼のケータイに


「We wanna go to Sar Agha Seyed. But we know that there's no bus to go there then we want you to let us take where you go with your car.Just wanna get close to the distination.」

と打ち込む。 

これがペルシャ語でどう訳されるかは知らないが、

サルアグハシヤードに行きたいんだけどバスがないから君が行くところまで乗せてってほしい。目的地に近づきたいんだ。

と伝えたかったが。
彼はそれを読んで返事をくれる。

そして彼がペルシャ語で打ち込んだものが英語で訳されたのは、

「I don't go to Sar Agha Seyed.(そこには行かない)」

だった。分かっている。
俺らは乗り継ぎたいだけなんだ。


もう面倒だった。


乗っていいかい?


と仕草をするが、彼はダメだダメだと言った感じだ。
おそらく自分がこの2人の旅人をSar Agha Seyed まで連れていかなければならなくなると勘違いしていたのだろう。



それからペルシャ語でおそらく


「雪が積もっているから無理だ。」


と言われた。


「分かってる。それは分かってるんだ。」


どうすれば伝わるだろうか。

よし


「そう!雪が見たいんだ!」


彼はなんだこいつら、頭おかしいのか?と言った表情でこっちを凝視する。


おう、そうだよ、もう頭おかしいよ!
おかしくなきゃこんなことやらねーよ!



どうも彼は理解してくれなさそうだった。

「ありがとう。もう大丈夫だよ。」

次の車を待とう。

しかし、彼は一向に車に乗らずにこちらに話し続けてくる。
これだよ、イラン人の性質。
一度こちらから話しかければ一生付きまとってくる。

「もう行っていいから!」

と伝えても、そこから動かず何かを楽しそうに話している。
そんなやりとりをしていた時だった。次の車がこちらに向かってきた。

「来た!」

同じように手を大きく振って車を止めるが
私たちが運転手に話しかける前にさっきの運転手が何かを話し始めた。

「こいつらSar Agha Seyed に行きたいんだとよ! お前乗せてけるか?」

そんなところだろう。
それを言っちゃったら、誰も乗せてくれないよ,,,
案の定、首を振られた。

違うんだ。誰も直接そこまで行きたいわけではないんだ。ただ乗り継いで近づきたいだけなんだ。
最終目的地までは50kmほどの道のりがある。一つの車で行けるなど思ってもいない。

そもそも、この時点で最後までたどり着くことは半分は諦めていた。

本当に雪で道が閉まって行けないのかどうかを確認がしたいだけなのだ。 

2台目を逃し、ありがた迷惑の運転手にも無事に帰ってもらう。

3台目を待つ。


すると次はパトカーが走ってきた。
これは,,,

道のど真ん中に立ってパトカーを止める。 
日本でやったらど叱られるだろう。

「どこに行くんですか?」

「パトロールだよ」

英語が話せる!

「そこまで連れてってくれないですか!?」

「い、いいけど,,,」

困惑した表情で承諾してくれる。

やっほおおおおおおお!

後ろの荷台に乗せてもらう。
IMG_3629

パトカーは意外にも進んで行き峠を一つ超えた。

するとさらに小さな街がそこにはあった。街といっても家が10軒ほどしかない場所だったが。

「ここまでだな」

「ありがとうございます!」

かなり距離を稼いだ。
5kmは進んだだろう。

そこから山に向かって歩き続ける。
歩いて最後までたどり着くことなど無理なのは分かっている。

でも進むしかなかった。

そしてその街が本当に最後だったのだろう。車の数は一気に減った。

2人で歩き続けた。

「本当に車が通れないだけの雪があるか確認しよう」

それが目標だった。
そうすれば諦めもつく。

次第に道にも所々雪が積もってくる。 

3kmほど歩いただろうか。

突然、野良犬がこちらに向かって吠えてきた。
するとあっという間に仲間が集まってきた。
IMG_4891

マジで怖い。

目を合わせないように進む。

しかし吠えは止まない。

頼むぞ、来ないでくれ。

もしものために、唯一の食料だったナッツを握りしめる。
しかし、何が起きたのか急に吠えるのをやめて帰っていった。

知らぬ間に縄張りに入ってしまったのかもしれない。

ホッとして歩き続ける。
その時だった。

背後からエンジン音が聞こえた。

!?

振り向くと、1台の車がこちらに向かって走ってくる。

来た!

その車を止める。

もちろん英語は話せないおじいさんだった。

もう説明はいらない。
乗っていいかい!?

とジェスチャーを送ると

「乗れぃぃぃぃぃ!」

とノリのいい返事をくれた。

2人でハイタッチをして乗らせてもらう。
IMG_5554

このおじいさんが降りる時になったら降りればいい。 

「センキューなおじさん!」

運転しながら後部座席に座る私たちに向けて親指を立ててきた。

ところでこのおじいさんはどこへ向かうのだろうか。
この先に家でもあるのだろうか。

しばらくすると雪が被った坂道を登り始める。

が。

スリップだ。

前に進まない。
助走をつけて進むが、結果は同じ。

5回ほど挑戦しておじいさんは諦めた。

さて、この後はどうしようか。
しょうたさんと相談する。


選択肢は二つだった

  • おじいさんに乗せてもらって街まで帰る
  • 歩いてさらに進む

この時、時刻は13時半。そして、これまで反対方向から来た車は一台も来ていなかった。
このまま進み続けて、無事に引き返せる保証はなかった。 

最後の街から15kmほどは進んでおり、もう少し歩いてから引き返すとなると20kmほどを日が沈む前に帰らないと危ない。なんせ食料は持ってきていないし、軽装備なのだ。 

しかし、割と早く2人の意見は一致した。


「もう少し進んでみよう。」


おじいさんにはお礼を言ってお別れした。
ところで彼は何をしに坂道を登ろうとしたのだろうか。謎だ。

日は出ているが次第に風が冷たくなってくる。 
会話も減っていく。
IMG_3753

気がつけばタイヤの跡はなくなっており、獣の足跡が目立ち始めた。

熊に襲われた時のシュミレーションなどを話していたが、
正直、進むにつれて怖くなっていた。

気がつけば足首まで埋まるほどの雪の高さになっていた。

そしてSar Agha Seyed までは30km,拠点の街に戻るにはどっちみち20kmのところまで歩いていた。
そう、ほとんど半分まで来ていたのだ。

これを知った時、もしかしたら歩いていけるかもしれないという考えが頭に浮かんだ。


今考えれば無謀すぎる。

でも、当時の私たちはあの写真で見た景色が見たくて仕方がなかった。


しかも、冬のシーズンに最後までたどり着ければパイオニアになれるかもしれないという考えもあった。 第一人者になると言った野望もあった。

IMG_2041

明確な答えは出なかったが、とりあえず歩き続けた。
というか、もはや止まれなかったのだ。
進む以外に選択肢がなかった。

かっこよく聞こえるが、

ただの



ばか



である(笑)

③〜進んでも『死』戻っても『死』〜へ続く
 
  ランキング参加してます! 清きポチッお願いします♡ にほんブログ村 旅行ブログ 世界一周へ
にほんブログ村


イランに来たからにはどうしても行きたいところがあった。

「Sar Agha Seyed」
sar-agh-syed-sar-agha-sayed-village-iran

イランの山奥に今も残る集落で、人々は家の屋根をインフラとして利用する。
この写真を見たときからいつかは行きたいな、と思っていたが
そう言えば私はイランにいるのだ。



行かなきゃ損損。


イランがまだ観光面で充実していないことからも、この観光地は知る人ぞ知るエリアになっていた。
その為、ここまでのバスが1本であるわけもなく、ローカルバスを4本乗り継いで行かなければならない。

情報を集めるためにも宿のオーナーに

「明日、ここに行きたい。」

と告げる。すると衝撃の事実。

「あー、今のシーズンはそこ行けないよ。」

・・・はい?(・∀・)
嘘だ。嘘に決まっている。

「なんで?」

「雪だよ。雪で道が閉まってるんだ。」

信じない。これまたイラン人お得意の「嘘」または「テキトー」に決まっている。

だって、その集落には学校も病院も無いと聞いた。
もし急病になったりしたら近くの病院に行かなきゃならないだろう。
それに食料の運搬だってあるはずだ。

何より、このイスファハーンからは緯度的にはそんなに変わらないのに雪で道が閉まるなんてありえない。そう、イスファハーンでは雪など一粒も見ていないのだ。

「わかった。」

とりあえず、諦めた素ぶりを見せて部屋に戻る。

とは言ったものの落胆はかなりだった。

ボリビアに行ってウユニを見れないと言われるようなもんだ。

何か方法を模索するがなかなか閃かない。

・・・

もういい!
とりあえず行く!

自分の目で道が閉まっているのを確認しなければ気が済まなかった。



明くる日の朝7時。

宿のチェックアウトを済ませて相棒のしょうたさんとバスターミナルに向かう。

イスファハーンの西側のバスターミナルから最初の目的地を目指す。
IMG_6208


IMG_3663

最初にも言及したように最終目的地までは4本のバスを乗り継がなければならない。

風景を眺めて2時間ほどバスは走り続けた。
IMG_0480

街へ到着する。

さて2つ目のバスに乗り換えだ。

おっと、一気にローカル感満載。
IMG_7888

その道のりもローカル感が増す。
IMG_8168

にしても天気がいい。これは雪の心配などないだろう。
ほら、やっぱり嘘だったんだ。

久しぶりに早起きしたこともあって、気がつくと眠りに入っていた。

そのバスでは1時間半ほどを走って次の街に到着する。

3つ目のバスへ乗り換え。
IMG_2292

さあ、これまでは順調だぞ。

引き続き,,,と願った矢先だった。
IMG_9079

少しづつ道に雪が積もってきた。

雲ひとつない晴天とは裏腹に、私としょうたさんの中では雲行きが怪しくなってきた。

「大丈夫かな,,,」

そのバスで2時間ほど走った後に、最後の乗り換え地点まできた。
この街でバスを見つけることができれば、無事に最終目的までたどり着くことができるだろう。

期待と不安を胸に小さなバスターミナルに向かって、尋ねる


「Sar Agha Seyedに行きたい!」


しかし、係の人間は首を振るだけだった。
そんな事よりお前らどこから来たんだよ! 話そうぜ! とどんどんと村人が集まってくるが、バスがないと告げられた私たちはそんな気分ではない。

「どうしよっか。」

目の前まで来ているのだ、片道5時間をかけてようやくここまで来たのだ。簡単には諦められないし、道はまだ雪で積もっているわけではない。

もう、これしかなかった


『ヒッチハイク』


最終目的地に続く道のど真ん中に座り込む。検問所のように。

と言っても通る車は滅多に来ない。

ただ、もしここを通る車があれば我々に希望の光が差し込むのだ。
気長に待ち続けよう。
IMG_6719




②〜強制出国どころか命の危機〜へ続く





  ランキング参加してます! 清きポチッお願いします♡ にほんブログ村 旅行ブログ 世界一周へ
にほんブログ村

このページのトップヘ